せーブログ

買物する際にお得かどうか調べちゃうくせに後で同じ事を調べ直してばっかり。なので記録を残す事に。似た状況の人の轍になれれば

奇跡のリンゴは感動の実話ではない?



はい、今日は映画『奇跡のリンゴ』について。

目次

阿部サダヲと菅野美穂なのでちょっと観たいなと思いつつ調べてみたら事実がイメージと違うようなのでメモ。ファンタジーやフィクションとして感動するのは良いけれど実話として感動するのはちょっと違う気がする。引っかかる点が多いのでざっと調べた。

無農薬ではなく農薬無知

木村さん自身に悪意はなさそうだけど悪意が無いからといって間違った事を言っていいわけではない。

  • 奥さんが農薬で皮膚に異常が出たので農薬に対する偏見が強い*1
  • 「UFOに乗って宇宙人に遭った」「龍を見た」「世界の終わりカレンダーをソクラテス似の老人に見せてもらった」とか平気で言っちゃう

ってエピソードのある人なのでちょっと危ない。見た目が好々爺なのでメディアに担ぎ上げられてるだけの可能性があるかもしれない。

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木村農法はよく無農薬無肥料と言われていますが、なぜそれが可能なのかというと、それは彼が農薬等のことを全く知らないからであり、事実として奇跡のりんごは無農薬栽培でも無肥料栽培でもありません


「奇跡のりんご」はなぜ無農薬栽培なのか|農家こうめのワイン

やっぱりか!写真で見る限りだと気のいいおじいちゃんだからついつい善人扱いしちゃうけど農薬について知らないで無農薬自称してんのかよ!

農薬の事を知らなさ過ぎる(農薬知識が1975年/約40年前!で止まってる)ので農薬を使っている自覚がないだけだったとは…。

奇跡のリンゴは腐らないと言いながら林檎酢を売る業者

木村さんとは関係ないところで木村さんの名前を使って商売をしている人たちが胡散臭い。

木村さんのりんごは腐らないとのことで有名です。


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マジで!すげえな!って林檎酢なのかい!腐らないリンゴで酢を作るって原理的に無理なんだけど…。

  • 腐る
  • 醸造
  • 醗酵

の区別が付いてない業者のようです。これまた無知から来る誤った宣伝文句

化学的な解明ができているわけではないようですが、リンゴの木の『生命力の違い』じゃないかと考えられます。

奇跡のりんごがなぜ腐らないのか?の結論部分がオカルト・・・。腐らないリンゴなら林檎酢が作れてるのがおかしいし科学的根拠もなく「腐らないリンゴ」と広告に書いてしまうと不実証広告規制で消費者庁に怒られます。

農薬を使って作ったリンゴは農薬まみれという誤解

一般的な野菜・くだもの等は農薬&化学肥料漬け。一般の農家の人が、自分で食べる野菜は別の畑で作った作物を食べるというほど現代農法は化学物質(薬品)まみれの状況のようです。


土壌改良材、化学肥料等の薬品まみれの土壌から吸い上げた実には当然残留があるはずですし、実を構成する細胞にも化学物質の影響は、決してないとは言えないでしょう。これが腐敗に繋がる要因のひとつのような気はします。


当然、それを食べる私たちの体内にも入ってくるわけです。これは心配です。

現代じゃ残留農薬あったら市場に出せません

農林水産省のガイドラインに従って厚生労働省が検査しますが農協なども自主的に検査しています。

何もわかってない上に恐怖を煽って統計も取らずに効果がある!ってEM菌や波動、水からの伝言、ホメオパシーあたりと同じ流れ。

木村さん自身の話は「科学的根拠ないけどまあ良かったね!」で済ませてもいいけどこういう変な業者が詐欺まがいのやり方で商売すんのが必ず出て来るから厄介なんだよねえ。

奇跡のリンゴ誕生のエピソードの闇

ここがまたメディアに利用されてしまう部分なんだよなー。農薬で皮膚に異常が出ていた奥さんの為に決意!ってのはもちろん良い話です。でも借金が膨らんでも挑戦をやめなかった、って裏を返せば

生活苦なのにそれを見かねた知人の忠告も聞かず家族に極貧生活を強いてた頑固ジジイ

だったわけで本末転倒な感じ。生活苦の真っ只中にいた当事の奥さんのコメントが欲しい。義父の土地売ったり奥さんが野菜作って売ったり相当な苦労を重ねた…って生活が苦しいならリンゴ研究ばっかりしてないで木村さん自身も野菜作って売れや。音楽で食っていく!と言いながら働かない自称ミュージシャンか。

自殺を考えた?家族に苦しい思いをさせておきながら?

自殺のくだりも微妙。何年も収入ゼロが続いて自殺考えたって奥さんと子どもにさんざん苦労かけておいていざとなったら自分だけ逃げ出すって事で最低な展開。

現代の農薬は昔ほど体に影響が出なくなった

そもそも、彼が無農薬生産に踏み出したのは38年前の1975年。昭和40年台後半に奥さんが農薬により皮膚に炎症が発生するなどの薬害を患ったのがきっかけという事ですが、それはその当時の農薬にはそのような害を齎す効果があったという事であり、その後農薬は進化しそのような害に見舞われ苦労をするという事も無くなった。という事は多くの方が知っておくべき事実であると思います。


「奇跡のリンゴ」について聞かれたら|あなたも農業コンサルタントになれる

当時の木村さんが取った道は正しかったというか農薬を止めるしかなかったって事だね。一方で現代の農薬なら奥さんにも弊害はないかもしれないぐらい改良を重ねてきていると。

結局のところ木村さん夫婦だけで見れば色々あったけど良かったね、な話なんだけどそれを拡大解釈したり商売に利用したりする人らが問題だらけ。でそういう不届き者を懲らしめようと裏を取っていくと木村さん夫婦がやってきた事の価値が損なわれる可能性があるっていう難しい図式。

無農薬が引き起こすアレルギーもある

それから個体差。奥さんは薬害を患ったけど木村さんは患ってない。なので全人類に害がある農薬では無い事がわかる。で特定の人にだけ起こる現象で連想するのはアレルギー症状。そうなるとこういう研究結果も出ている。

しかし、無農薬だからといって安全と本当に言い切れるだろうか? 実は、無農薬で育てた果物や野菜の方が、農薬を使って育てたものよりも、人が食べた場合にアレルギー症状を引き起こしやすい物質が多く含まれているという研究結果があるのだ。


「無農薬だから安心」とは限らない - ニュース - nikkei BPnet

簡単に言うと木村さんの奥さんが助かる反面、そのリンゴを食べる別の人が被害を受ける可能性がある。無農薬だと害虫に晒される機会が当然多いわけだけどそうすると植物が自らを守るために防御体制を取る事がわかっているそうだ。

農薬なしで植物を育てる → 害虫に晒される → 植物が防御態勢を取る → その防御物質がアレルギーの原因に

農薬なしでリンゴが作れると聞くと「なーんだ、農薬いらないじゃん」って思いがちだけど植物自身が作り出す防御物質がアレルギーを引き起こす可能性があり、それは無農薬だからこそ生まれるんだって。確率は低いだろうけどこうやって調べていくとキリがないしホント大変だ・・・。

アレルギー体質な人とそうでない人との温度差

自分なんかは割と頑丈な方なので基準値内なら農薬使ってくれた虫のないリンゴが良いんだけど過敏な人は逆だろう。でも逆だからと言って無農薬が万能かと言うとケースバイケースでしかない。

上で書いたような内容を理解した上で「過敏な人には朗報だからいいじゃないですか」と言ってる人がいたけどそれも正確ではない。アレルギー面で不安のある人は相変わらず注意して食べ物を選ばなければいけなくて朗報かどうかは食べてみるまでわからない。こんな話、アレルギーと戦ってる人からしたら常識だろうけど自分みたいなアレルギー無知な健康バカが安易にオススメしたりしないようにって意味でも注意が必要だね。

まとめ



映画は娯楽として観る分には問題ないと思う。但し、決して感動の実話ではないと覚えておこう。家族を苦しめた借金や苦しめた家族を捨てて自殺しようとするくだりで感動とは言い難いし無農薬無肥料じゃない時点で実話でもない。


*1:これは仕方ない事とは思う